【社長が語る教訓】資金繰り危機から学んだ「会社を二度と傾かせない」3つの経営ルール

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なぜ元銀行員が「社長の教訓」を語るのか。

私は34年間、大手都市銀行で中小企業の融資・事業再生に携わってきました。

その間、数多くの会社の栄枯盛衰を目の当たりにし、時には救えるはずの会社を失う悔しさも味わいました。

銀行員時代の最終盤、長年支援してきた取引先が融資基準の硬直化により支援が間に合わず倒産してしまった時、私は痛感したのです。

「銀行の論理だけでは、本当に頑張っている会社を救えない」と。

定年を前に早期退職し、現在は経営・金融ライターとして活動している理由がここにあります。

現場で培った生きた知識を、本当にそれを必要とする経営者に直接届けたい。

この記事は、苦境に立つ経営者のための「生きた教科書」です。

要するに、私が銀行員として見てきた失敗事例と成功事例から導き出した、会社を二度と傾かせないための実践的な経営ルールをお伝えします。

本質は、数字の奥にいる「人」を見ることです。

ルール1:PL信仰からの脱却。経営の生命線「キャッシュ」を死守する

なぜ「黒字倒産」は、真面目な会社ほど起こりやすいのか

東京商工リサーチの2020年調査によると、倒産企業7,773社のうち実に46.8%が黒字倒産でした。

赤字倒産と黒字倒産の割合が、ほぼ半々という事実に驚かれる方も多いでしょう。

私が銀行員時代に見てきた黒字倒産には、ある共通点がありました。

それは、経営者が損益計算書(PL)の数字を盲信し、キャッシュフローの実態を把握していなかったことです。

「売上が順調に伸びているから大丈夫」「利益も出ているし問題ない」

こうした経営者の言葉を、私は何度聞いたことでしょう。

真面目で勤勉な経営者ほど、帳簿上の黒字に安心してしまう傾向があります。

しかし、売上が計上されても実際の入金は1〜3ヶ月後。

その間に支払いが重なれば、一気に資金繰りが悪化します。

成長期の会社では売掛金と在庫が急激に膨らみ、運転資金を圧迫するケースも珍しくありません。

元銀行員が教える、資金繰り表の「見るべき、たった1つのポイント」

資金繰り表を作成している会社は多いですが、見るべきポイントを理解している経営者は意外に少ないものです。

私が融資先の経営者に必ず確認していたのは、「向こう3ヶ月間の現金残高の最低値」でした。

要するに、この3ヶ月で現金がいちばん厳しくなるのはいつか、その時の残高はいくらかということです。

この数字が運転資金の2週間分を下回ったら、即座に対策を講じる必要があります。

多くの経営者は月末の残高ばかりを気にしますが、本当に重要なのは月中の動きです。

支払いが集中する時期を見落とし、一時的な資金ショートで倒産する会社を、私は数多く見てきました。

資金繰り表は「作って終わり」ではありません。

毎週更新し、常に向こう3ヶ月の最低残高を把握し続けることが、経営の生命線を守る第一歩なのです。

「どんぶり勘定」からの卒業。明日からできる現金管理の鉄則

現金管理において、私が経営者に強く推奨するのは「週次管理」です。

月次では危機を察知するのが遅すぎます。

  1. 毎週金曜日に翌週の現金残高を予測する
  2. 予測と実績の差額を必ず分析する
  3. 3週間先までの支払予定を常に把握する

これらを徹底するだけで、資金繰りの精度は格段に向上します。

また、売掛金の回収サイトを1日でも短縮できれば、それは直接的な資金効果をもたらします。

私が支援した製造業の社長は、月末締め翌月末払いを月末締め翌月20日払いに変更しただけで、運転資金を大幅に改善しました。

本質は、現金こそが会社の血液であるという認識を持つことです。

どんなに利益が出ていても、血液が止まれば会社は死んでしまうのです。

ルール2:「銀行融資一本足打法」という最大のリスクを理解する

銀行の論理と、中小企業の現実。その間にある深い溝

34年間銀行員を務めた私だからこそ言えることがあります。

銀行の融資基準と中小企業の資金ニーズには、しばしば深い溝が存在するということです。

銀行は「過去の実績」と「担保・保証」を重視しますが、中小企業が本当に資金を必要とするのは「将来への投資」のためです。

この根本的なミスマッチが、多くの健全な会社を資金難に追い込んでいます。

金融庁の検査が厳しくなった2000年代以降、銀行の融資姿勢はさらに保守的になりました。

私も現場で、本来なら支援すべき会社への融資を断らざるを得ない場面を何度も経験しました。

要するに、銀行だけに頼る資金調達は、もはや時代遅れなのです。

優秀な経営者ほど、複数の資金調達手段を確保し、リスクを分散しています。

銀行員が眉をひそめても、会社を救う「攻めの一手」

私が銀行員だった頃、ファクタリングやABL(動産担保融資)に対しては正直、懐疑的な見方をしていました。

しかし今は違います。

これらは「最後の手段」ではなく、「戦略的な資金調達手段」として位置づけるべきだと確信しています。

特に、売掛金の回収サイトが長い業界では、これらの活用が競争力の源泉になり得ます。

最後の手段ではない「戦略的ファクタリング」という選択肢

ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に売却して早期に現金化する仕組みです。

融資ではないため、赤字決算や税金滞納があっても利用可能です。

審査の重点は売掛先の信用力に置かれ、最短即日での資金調達も可能です。

手数料は年利換算すると高く見えますが、機会損失を考慮すれば十分にペイします。

私が知る建設会社の社長は、ファクタリングで調達した資金を使って大型案件を受注し、その後の業績を大幅に改善させました。

「あの時、銀行融資を待っていたら機会を逃していた」と、その社長は振り返ります。

在庫と売掛金を「第二の財布」に変えるABLの知識

ABLは売掛債権や在庫などの動産を担保として融資を受ける仕組みです。

不動産担保や個人保証に依存しない点で、従来の銀行融資とは一線を画します。

担保の評価額に応じて融資額が決まるため、成長企業にとっては魅力的な選択肢です。

ただし、金融機関での審査が必要で、調達まで2〜3週間を要します。

私が融資担当時代に取り扱ったABL案件では、在庫回転率の改善と合わせて企業体質の強化が図られました。

要するに、ABLは単なる資金調達手段ではなく、経営改善のきっかけにもなり得るのです。

平時から築くべき金融機関との「対等な関係」とは

多くの中小企業経営者は、銀行との関係を「借りる側」と「貸す側」という上下関係で捉えがちです。

しかし、真に強い会社を築くためには「対等なパートナー」としての関係構築が不可欠です。

私が優秀だと感じた経営者は、決算説明の際に必ず「今期の反省点」と「来期の改善策」を明確に語っていました。

また、業界動向や競合他社の状況についても積極的に情報交換を行い、銀行員を「経営のアドバイザー」として活用していました。

こうした経営者は、いざという時に銀行から手厚い支援を受けられるものです。

金融機関との関係は、困った時に築くものではありません。

好調な時にこそ、将来を見据えた戦略的な関係構築を行うべきなのです。

ルール3:「事業の聖域」を自ら定義し、守り抜く覚悟を持つ

危機に瀕した時、経営者が本当に守るべきものは何か

私が銀行員として事業再生に携わった経験から言えることは、危機に直面した時こそ、経営者の真価が問われるということです。

その際、多くの経営者が陥る罠があります。

「全てを守ろうとして、結果的に全てを失う」という罠です。

本当に強い経営者は、厳しい選択を迫られた時に明確な優先順位を持っています。

彼らは「絶対に守り抜くもの」と「場合によっては手放すもの」を事前に定義しているのです。

私が支援した製造業の社長は、資金繰りが悪化した際、即座に不採算部門からの撤退を決断しました。

その決断により、コア事業への集中が可能となり、わずか2年でV字回復を果たしたのです。

私が感銘を受けた、ドラッカーに学ぶ「捨てるべき事業」の見極め方

私の座右の銘の書である『経営者の条件』で、ドラッカーは重要な指摘をしています。

「成果をあげる経営者は、何をすべきかではなく、何をすべきでないかを考える」

要するに、優先順位を決めることの本質は、やめることを決めることなのです。

事業の見極めにおいて、私が経営者に必ず問いかけるのは以下の3つの質問です。

  1. この事業は3年後も利益を生み出しているか?
  2. この事業に投じる経営資源を他に回したら、より大きな成果が期待できるか?
  3. この事業がなくても、会社の本質的価値は保たれるか?

これらの問いに対する答えが曖昧な事業は、往々にして「惰性で続けている事業」である可能性が高いのです。

囲碁に例えるなら、「石の生き死に」を見極める眼力が経営者には求められます。

死に石にいつまでも固執していては、全体の勝利は望めません。

苦渋の決断の先にあったV字回復。ある町工場の実話

ここで、私が忘れられない一つの事例をお話しします。

従業員50名の金属加工会社の話です。

リーマンショック後の受注激減で、この会社は深刻な資金難に陥りました。

社長は当初、全ての事業と雇用を守ろうと必死でした。

しかし、私が資金繰り表を分析した結果、現状維持では3ヶ月後の倒産が避けられない状況でした。

そこで私は社長に、厳しい現実をお伝えしました。

「今すぐ不採算事業から撤退し、従業員の3分の1を整理しなければ、全員が路頭に迷うことになります」

社長は3日間悩み抜いた末、決断を下しました。

汎用品の加工事業から撤退し、得意分野である精密部品加工に特化する道を選んだのです。

その決断は正解でした。

特化により技術力が向上し、大手メーカーからの信頼を獲得。

2年後には売上は以前の8割まで回復し、利益率は大幅に改善していました。

最も印象的だったのは、その社長の言葉です。

「あの時の決断で、会社の『芯』が見えた。今は迷いがない」

要するに、事業の聖域を定義することは、会社のアイデンティティを明確にすることでもあるのです。

まとめ

改めて問う。「あなたの会社は、二度と傾かないと言えるか?」

私が34年間の銀行員生活で学んだことを、3つのルールとしてまとめました。

  1. キャッシュフローを死守せよ
  2. 資金調達手段を多様化せよ
  3. 事業の聖域を明確に定義せよ

これらは単なる理論ではありません。

現場で数多くの成功と失敗を見てきた私の、血の通った教訓です。

改めて問います。

あなたの会社は、二度と傾かないと言えますか?

3つのルールに共通する「事業の本質」

この3つのルールに共通するのは、「事業の本質を見極める眼力」です。

利益ではなくキャッシュを重視するのも、銀行融資以外の選択肢を持つのも、聖域を定義するのも、全ては事業の本質を理解することから始まります。

私が新入行員時代に叩き込まれた「数字の奥にいる人間を見ろ」という言葉は、今も私の行動指針です。

財務数値は結果に過ぎません。

その奥にある経営者の判断力、従業員の士気、顧客との関係性こそが、会社の真の価値なのです。

囲碁に学ぶ大局観。経営者よ、数字の奥にいる「人」を見よ

私の趣味である囲碁では、「大局観」という概念があります。

目先の戦いに囚われず、盤面全体を俯瞰して次の一手を決める視点です。

経営においても、この大局観が不可欠です。

今月の売上や利益に一喜一憂するのではなく、3年後、5年後の会社の姿を描き、そこから逆算して今打つべき手を考える。

そして何より重要なのは、その判断の中心に常に「人」を置くことです。

従業員、顧客、取引先、そして地域社会。

これらの人々との関係性を大切にする会社は、どんな困難にも必ず道を見つけ出します。

要するに、強い会社とは財務体質が強い会社ではありません。

人とのつながりが強い会社なのです。

私が銀行員として、そして現在ライターとして伝え続けたいのは、この単純で普遍的な真理です。

あなたの会社も、きっと二度と傾かない強さを手に入れることができるはずです。

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